試験場の周回路。外周に向かって45度の角度がつけられた区間がある
日頃の撮影に編集者やライターさんをのせて走っている僕のクルマは、この秋に世に生まれて丸10年が経ちました。
走った距離はおよそ19万5000キロ。もうすぐ地球を5周分という計算になります。そのうち2年間は沼津の販売店でお客さんの相手をしながら2000kmほど走っていた経歴もあります。
シルバーウィークと呼ばれた2015年秋の連休に、このクルマの生まれ故郷である広島県の三次自動車試験場で試験場の開業50周年を祝うファンミーティングがありました。同じメーカーの自動車を愛用する人々が全国から集まったのです。
今日はこのイベントでの出来事を書き留めておきたいと思います。
僕は静岡から自車で参加。連休初日に移動したため600kmほどの道のりを渋滞を含めて11時間半ほどかけて広島へ向かいました。
場内に入場すると「おかえりなさい!」と社員さんから声がかかり、これには涙が出てきます。
報道によれば全国から1000台を超える自動車が集まり参加者は3000名を超えたと後日発表がありました。
このファンミーティングでは50年前に最高速度230kmで設計された周回路を時速180kmを超えるスピードで高速走行するテストドライバーのクルマに同乗させていただいたり、自動車開発のために世界各地から移設された様々な路面(例えばヨーロッパの石畳の道など)やでこぼこ道、アイスバーン路などをバスから見学したりと、この試験場がどのように使われてきたのかを知ることができました。

また、参加者のクルマを使って行なわれた歴代の車両展示もありました。
この写真はそのうちの1台のグランドファミリアというクーペです。運良くオーナーさんに話を聞けたので少しご紹介します。
このクルマは昭和49年の発売でオーナーさんのもとにやってきたのは50年のことだったそうです。以来40年間、日々の買い物などに使われてきました。
クルマを長く使うコツを伺ったら、まず最初のひと言はよく走らせること。
そして丁寧に走らせること。無理をさせないこと。たまには回転をあげて走ること。
あまりにピカピカなので屋内保管なのかと伺うと露天駐車だそうで、掃除もぞうきん掛けで充分。
ただし、ワックスはひと月に一度はかけるといったことも大事なことだそうです。

このクルマを後ろからよく見ると後部座席のあたりに小さな三角窓があります。この窓は前のドアについている窓と同様に手動巻き上げで窓を開閉できる仕組みなっています。現代のクーペには見られない丁寧な作りだと思います。
昭和50年という年は僕が生まれた年でもあり、それが現役で紅葉マークも可愛らしく活躍していることは驚きでした。
余談ですが、グランドファミリアの販売時のキャッチコピーは、「ファミリーカーの王様」。
やさしいキャッチコピーはどんな人がつけたのでしょうね。
キャッチコピーと言えば、オーナーさんの中にはこれらの写真のように当時の広告を持ち寄った方もいらっしゃいました。
上はデミオというクルマが最初に出たときのもの、下はコスモというクルマです。
写真と共にキャッチコピーが添えられています。
「ご自由にお使いください」
「ハートは熱いか。」
デミオは小さなクルマで、当時流行した多目的乗用車らしい表現です。
(余談ですが、僕はクルマを所有していない頃はレンタカーでこのデミオによく乗り、それでこのメーカーのクルマを選びました。)
コスモは高級感だけでなくかなり艶っぽい作りなのですが、よく見ると後ろの男性のお陰でちょっとコミカルなことになっています。
写真撮影のための光の作り方もクルマの性格で全く異なるところも見どころかもしれません。
いずれの広告もクルマを手に入れたらどんな生活が待っているのか?ということをイメージさせる内容なのかなぁと思えます。
特にデミオはそれがわかりやすく、コスモはクルマを持つことがステータスシンボルだった時代ならではの表現とも言えるのではないでしょうか。メインビジュアルにクルマは写っていますが、中心は人の存在にあります。
なお、これらの広告はデミオは1996年頃のもの。コスモは1979年頃の広告だと思われます。

ファンミーティングの後半にはマツダ・787Bと呼ばれる1991年にフランスのサルトサーキットで行なわれたル・マン24時間レースの優勝車のデモ走行がありました。写真はそのときの撮影ですが雲間から時折射し込んでくる光のなかを甲高いサウンドで走っていく様は、まるで戦闘機。
以前筑波サーキットで見たときよりもスピードも速く感じられ感動しまくりの3周でした。
今回のイベント。主催はユーザーグループ主導の実行委員会で、メーカーは特別協賛となっています。
メーカーの社員さんはスタッフとして場内の誘導などで参加しているのですが有志を募ったのだそうです。
またメーカーからの新車販売に関するプロモーションはありませんでした。
参加費はお弁当とお茶付きで¥2,700。運営方法にも驚くことになりました。
クルマというカテゴリの中で様々な年代の人が集まり交流が出来るイベントは想像よりも自分が参加している気持ちにさせてくれ、とても充実した時間になります。イベントの最後は参加者全員が試験場の周回路を参加車でパレード。今度は「いってらっしゃい!」と声をかけてもらいながらです。
次に里帰りするときまで、どうやって乗り続けようか?
話に聞いたところでは、ロードスターというオープンカーで91万キロ走破した方がいるそうです。
つまり、僕の19万5千キロはまだまだ子供のようなもの。。。
場内のブースで手に入れた「生もみじまんじゅう」の‘もちっと’した食感に思考を後押しされながらの帰路になりました。