雑誌の撮影に出かける前に、ラフ(レイアウトラフ)と呼ばれるものを使う事があります。
いわば、ページの下書き/設計図のことで、白紙状態から、これからつくるページの内容を共有するためのもの。
共有する相手は、そのページの責任者(編集長)や広告の場合は広告主と出版社の営業担当、そして、取材先の方と実際に現場で作業するルポライター(インタビューしたり文章をつくったりする人)やカメラマン、取材後にページをくみ上げるデザイナーなどたくさんの人たちです。
ラフは記事の構成を考える担当者が書いています。
ほとんどの場合は編集さんが構成を決めて書きますが、場合よってライターさんがページの構成を兼任し書くこともあります。
ちなみに、カメラマンがレイアウトラフを描くことはありません。
一枚の写真を撮影する際に簡単な絵を描くことがたまにあるくらいです。
今日は、デスクで受信したメールを整理していたのですが、こうしたラフがいくつか出てきました。
取材ごとに編集担当が変わればラフも変わるのは当たり前ですが、いろいろなラフがあるものだなぁと見返していたのです。
と、いうわけでちょっとご紹介。
こちらは、2014年発行のまっぷる静岡から。
ロゴや見出しがハッキリしていて見やすいです。
上の図のようにタイトルの下、波線になっているところはリードやキャッチと呼ばれる文章がはいります。大きくつぶれたZのようになっているところは、本文がはいるスペースという意味です。
※「リード」は記事の概要をまとめた前文、「キャッチ」は広告用語で人の心を惹き付けるつかみにあたる短い文章のことで、惹句(ジャック)ともいわれます。
そして、よく見ると情報誌で必ず出てくる人の姿。
これが、今見るととても朗らかなのでした。
いろいろな笑顔が出てきます。
富士山が近いと両手を広げるポーズは定番かな。
アイスクリームのようだが、山盛りのごはんのようにも見える信玄ソフト。
これは市場取材のラフから。市場の引き写真は二人連れ。表情がないのでモデルの目線なし、歩いている様子をという指示だったかな。おさかなもほのぼのムード。
民宿のご夫婦。どんなに忙しくても編集者のラフから笑顔が省略される事はないのです。
案外イラストでも柔らかい感じになって良いじゃないとも思えますが、あくまでラフ。これから撮影ですぞ。
と、いうわけで、今日はラフのことを書いてみました。
あらかじめレイアウトが決まっている制作物では、ラフを使うことはありません。
でも、もしかしたら、ラフが伝える力を倍増させてくれるかも。
ラフがあるとそれがたたき台になって、会話が広がるんですよね。
身近なコミュニケーションに手書きのラフ。ちょっとおすすめです。