朝日を浴びて 2010.7.10 PENTAX K-7 smc PENTAX-FA* 85mm F1.4 [IF] RAW
友人に納品するプリントを整理していて、さて、寝るかと東の空を見上げると、山頂が見える。
っ!!!!!!
眠気も吹っ飛び、バッグを抱え、イグニッションに力が入る。
清水のキリンが輝いているのを横目に見ながら、薩捶峠を目指す。
雲は、山頂を隠したり隠さなかったりと、ボクをじらすのだ。
鉄道写真を撮り始めたのは、中学生の頃。
途中、撮らない期間もあったけど、なんだかんだで、気になる存在。
そういえば、最初に雑誌に写真を載せてもらったのも、旧弘済出版社の
鉄道ダイヤ情報にレポートした写真だったっけ。もう20年以上前の話。
列車は毎日、厳密に管理されたダイヤグラムをいく。
日常のレール。そして、非日常に続くレール。
なかでも、都会から見知らぬ土地へ向かう夜行列車には格別の思い入れがある。
夜を越えて、はじめて降り立つ町、ただ、それだけで、物語の主役になったかのような気持ちにさせてくれる。
鉄道は、そんな旅への憧れを身近に手にする事ができる題材だろう。
そして、狙っていても、なかなか撮れない。
わかっている事は、決められた時間にやってくる、それだけだ。
列車の姿を中心に、天候、通過時刻に対する光線状態、望むアングル。
今日の写真は、風景写真の撮り方に近いが、走行中の列車を押さえるには列車の速度と距離にもよるが、1/250秒以下の短い時間の勝負になる。
展望台に着くと、既に先客がカメラを構えていた。
挨拶して、様子を聞くと、このまま色が覚めてしまうと残念そう。
この時期の朝焼け夕焼けは、大気中の水蒸気が多いため、ほかの季節に比べ焼ける可能性がとても高い。
ただし、梅雨という事もあり、条件が重ならなければ、富士は、その姿を現さない。
そして、SUNRISE EXPRESSの上り列車は、静岡駅を午前4時半過ぎに発車する。
走行中を撮影したかったら、初夏しかチャンスがないのだ。
こんな巡り合わせ、しばらくはないだろうと、刻々と変わる光にレンズを選び、アングルを変えながら、祈る。
山頂と寝台列車特有の丸みを帯びた車体のギラリを納める事ができたら、自分が望むものになる。
何本かの貨物列車で架線柱の間隔と列車の大きさを確認。
しかし富士は雲に隠れ、朝焼けは収まったかに見えた。
午前5時。通過直前。
あきらめかけていたところで、突然の光。
山頂も開けてくる。遠くで、モーターの音。
なにも迷う事なく、シャッターに指をかけた。
・・・・・
ボク「いや〜、いいですよね〜!鉄道写真!」
先客「・・・・・は???」